しおまち書房は、広島で編集ディレクション・文章作成を行う小さな制作事務所です。
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旅にいざなう本「世界のまんなかの島~わたしのオラーニ」

「MUJI BOOKS」さんの「本人」というコーナーで
ぼくが「旅にいざなう本」として紹介した本を順番に取り上げています。
この企画の主旨説明はこちらへ

まず、最初の本は、絵本です。
世界のまんなかの島 わたしのオラーニ

オラーニとは、イタリア西部の地中海のまんなかに浮かんでいる島「サルディーニャ島」の村の名前です。

アメリカに住む主人公の女の子は、お父さんの生まれ故郷のこの村に里帰りします。
やさしくも緻密な絵で、描かれていく「村」の日々。
そこには、都会とはまったく異なる、ゆるやかな時間が流れます。
住んでいる人々(それは親族にかぎらない)と、区別なく過ごします。

自然に囲まれた盆地にある光でいっぱいの広場が、オラーニ村の中心。
すきとおったつめたい水が味わえ、石窯で焼かれる平たいパン。
食べ物がどうやって作られるのかが目の前にある生活。
結婚式やお祭り、そしてお葬式。

のびやかな生活を、緻密なイラストで表現していて
ページをめくるだけで、じぶんもその村で暮らしているかのよう。

旅は決して、観光名所に行くだけのものじゃない。
普段の街とは、違う環境に身を置いて、風の音をきき、
そらの流れを見ているだけでも、とても楽しいもの。
旅のもつ、そんな根本的な愉しさを体感できる絵本だと思います。

なお、この絵本は、海外絵本の翻訳を専門とする
広島の出版社「きじとら出版」さんが発行したものです。

絵本として、「旅」そのものを体験できることで選びましたが
広島の「MUJI BOOKS」さんのオープニングに、
地元発の絵本をぜひ入れたいという思いも少なからずありました。

きっとお子さんへのプレゼントにもピッタリな一冊です。
ぜひ、手に取ってみてください。

そしてまた、懐かしい村の姿をとどめたいと、この絵本を描いた著者のように
私たちも、じぶん自身の故郷や、お父さん・お母さんのふるさとを
同じような思いで眺めることができたら
きっと、もっと、新しい発見があるかもしれません。

●世界のまんなかの島~わたしのオラーニ
作:クレア・A・ニヴォラ
訳:伊東晶子

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