「広島文芸誌 魁 SAKIGAKE VOL.2」
広島に実在した「少女歌劇団」をモデルに
懸命に生きた戦前の人々を描いた戯曲を収録。
~戯曲『ハダカゲキキタル 波田歌劇団物語』より~
しおまち書房で編集・販売した文芸誌
「広島文芸誌 魁 SAKIGAKE VOL.2」(魁同人会著)をご紹介します。
ご夫婦で制作された文芸同人誌の第2号となります。第1号はこちら。
編集者より
戯曲(舞台の脚本)と短歌を収録した、広島発の文芸誌の第2号です。
ご夫婦のユニットにより、2019年より制作・発行されています。
この「文芸誌 魁」は、ネットでも公開すると同時に、
少部数出版物(リトルプレス)の形態をとり、その一部をネット等で販売するという
考え方でつくられて行きます。
これまでの同人誌と、ほんの少しだけ角度を変えたことで
時代をさきがけるという意味で<魁 SAKIGAKE>と命名されました。
書籍の前半は、奥様による短歌を収録します。
背景が思わず浮かんでくるような描写力に
自らの似たような体験が浮かんでくるようです。
書籍の後半は、ご主人による戯曲を掲載。
今回、新たな取り組みとして、
広島で活躍されているイラストレーター、やんぴーさんに挿し絵を依頼しました。
続く戯曲はとても興味深い内容です。
それは戦前に広島に実在した、幻の少女歌劇団をモデルに描いているからです。
時代は、昭和16年の広島市。
舞台となったのは、川沿いにある老舗料亭。
大正時代から昭和初期にかけて、全国で少女歌劇団が続々と誕生し、
広島にもその波が押し寄せました。
「ハダカゲキ」と称された、その少女歌劇団が戦争の影響を受けることで
活動中止を余儀なくされるまでを描きます。
戦火の足音が響き始める広島で、活動が年々と制限される少女歌劇団とその経営者家族、
料亭に出入りする軍人たち、特高に追われ身を隠す劇作家、
慰問で広島を訪れていた移動劇団さくら隊の隊員などが織りなす
人間模様を通して、戦争がもたらすせつなさと、
それでもひたむきに生きる人々の心の動きを描くフィクションです。
戦時中というと、何もかもが灰色で塗りつぶされたようなイメージとされがちですが、
この戯曲に描かれた人々は、苦難の時代の中で、生きることの熱を発し続けます。
著者自身の作詞による、劇中歌も、イメージを駆り立ててくれます。
緻密な調査と取材から生まれたこの戯曲は
失われてしまった、戦前の広島の様々な文化や生活の一端を垣間見る作品として
いつか、実際に演じられることを願ってやみません。
編集者 久保浩志
掲載内容
Ⅰ 短歌
・夜の後援
・鳥になりたり
Ⅱ 戯曲
・ハダカゲキキタル 波田歌劇団物語
ご購入はこちら
2021年3月発行
著者・発行者/魁同人会(森昌之・森ひなこ)
戯曲挿し絵/やんぴー
編集・ディレクション/久保浩志(しおまち書房)
DTP/石橋由香(Designぽんでぴえーる)
制作・発行/しおまち書房
A5判(148×210mm)
全96ページ モノクロ
ISBN978-4-906985-32-6
定価/800円(税別)※税込定価880円
※限定数量印刷のリトルプレスです。
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