読後感:猫とともに去りぬ
「猫とともに去りぬ」 ジャンニ ロダーリ、 関口 英子
帯に「イタリアン極上ファンタジー短編」とある。雰囲気的には星新一のショート・ショートを思い起こさせるけど、大きく違う点がある。星新一の作品は、たとえば人名を「エヌ氏」としたり、固有名詞や地名を出さないという徹底的な匿名化によって、読み手に自由に情景を思い描かせるのが特徴。このロダーリの作品も時代や背景は曖昧で、お話の雰囲気は似ているんだけど、でも舞台はイタリアのさまざまな街とだけ明確に示されている。
これはぼくが異邦人だからかもしれないけど、具体的な地名が出ることが余計に想像を掻き立てると思った。
ローマの猫、ヴェネチアの魚たち、モデナの宇宙ロケット・・・。
イタリアの日常と非日常がうまくブレンドされていて、楽しく読んだ。
この作家はジュブナイル(児童文学)を多く書いてるため、日本では児童向け作家と分類されていて、評価されにくい現実があったそうだけど、ぼくはオトナが読んでもクスリと楽しめると思う。
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