しおまち書房は、広島で編集ディレクション・文章作成を行う小さな制作事務所です。
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【制作実績】猫のおはなし集『お給料はマタタビで』

【制作実績】猫のおはなし集『お給料はマタタビで』
著者:香箱あやの イラスト:タオ

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子どもの頃、家の近所で野良猫を見かけると、いつも追いかけていた。猫がひょいっと塀の上を歩くのを見て、自分にもできると思いこみ、よそ様の家の塀を歩いて怒られたこともあった。

山と谷に囲まれた母の実家では、白い猫を飼っていて「シロ」という名前だった。帰省の度に幾らでも戯れることができるから、ぼくはそれが楽しみで、何度も帰省の季節を待った。猫はちょっと遊ぶと決まって飽きてプイっと出ていくのも面白く、飽きもせず猫の日常を追いかけていた思い出がある。ずいぶんとシロにとっては鬱陶しい子どもだっただろう。

いろんな事情があって、ぼく自身は猫を飼うことはできないまま生きて来たけれど、その替りといっては何だけど、自分の興した制作事務所(しおまち書房)のロゴマークには、港で佇んでいる猫の絵を使った。
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「しおまち書房」の語源は、かつて瀬戸内海の海運で栄えた「潮待ちの港」にある。「地方からの発信が再び栄えるよう」にとの願いを込めた。それまでに訪れたいくつかの港には、だいたい猫が座っていて、潮待ちの港を象徴するつもりで猫のロゴマークのデザインを考えた。
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このマークで仕事をはじめてから、猫が好きな方から連絡をいただくことがずいぶん増えた。まさかそんな現象が起こるとは思いもしなかったけれど、それはそれで面白い。まさに「招き猫」だ。そうやってご連絡をくださった方のお一人が、この本の著者となる香箱あやのさんだった。

猫が大好きで、2匹の猫と暮らしている彼女は、猫たちと、猫をとりまく人々を主人公にしたお話しを数編書き溜めておられた。約1年半をかけて試行錯誤していくうちに、それは、文庫本サイズの小さな本として世に出せることになった。
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6篇の短編を収録し、3篇と2篇は連作になっている。猫それぞれに個性や表情があり、猫を愛する登場人物の偏愛かげんもコミカルだ。猫が好きな人には「そうそう!」「わかるわかる!」と頷くような描写もあるだろう。

著者監修のもと、イラストレーターのタオさんが、無邪気な猫からクールな猫まで、それぞれの猫たちの個性をじっくりと描き分けたイラストにも注目いただきたい。白地のシンプルな装丁もお二方が手がけている。

収録された、6つのお話すべてに、猫が登場し、その猫と人間との関係性がほのぼのと楽しい。

猫を題材にしているけれど、日々の生活での家族や職場の人との関係に置き換えて読める部分もある。
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ぼくはこれを作りながら、何度も読んで、そしてどういうわけか涙した日もある。

それはきっと、この作品に含まれる優しさと、その奥にある芯の強さに惹かれるからだと思う。

猫が好きな方も、そうでない方も。猫が好きだけど飼えない方も。

猫と過ごす楽しさを、あなたにも・・・そんな小さな本が、できました。

編集者 久保浩志(しおまち書房)

収録作品とあらすじ

(1)お給料はマタタビで(ジロタ社長と猫1)
(1)~(3)はインテリアショップを経営するジロタ社長が主人公の連作。従業員に厳しく、その反面、猫にはめっぽう優しいジロタ社長。怒りのあまり「猫を雇ったほうがましだ」とぼやいた翌日、店舗に現れた新しいスタッフとは・・・。

(2)ほぐしや「ねこのて」(ジロタ社長と猫2)
ある朝、ジロタ社長宅の郵便受けに入っていた、新しいマッサージ店の開店を知らせる手書きのメッセージ。朝の散歩に出かけた社長は川沿いのベンチで「おいでおいで」をする猫と出会う。

(3)コロンコロンさせる言葉(ジロタ社長と猫3)
社員に怒ってばかりだったジロタ社長。朝の散歩で知り合った猫のアドバイスで、社員への接し方を変えてみたところ意外な変化が・・・。

(4)サバとキバ
(4)と(5)は兄弟猫のサバとキバが登場する連作。魚のサバに似ているからと「サバ」という名前をつけられた猫が主人公。飼い主のミチコさんとの出会いや、弟猫キバと暮らすことになった日のことを思い出す。

(5)サバの家出
「兄と弟」をテーマにしたお話。ミチコさん家の隣に住む少年、タケシ君が主人公。家出し、タケシ君の家に転がり込んできた隣家のサバ。家出の理由をタケシ君がたずねると・・・。

(6)雪の日
この本の最後を飾る趣き深い短編。山と田んぼに囲まれた静かな場所でカフェを経営するマスターと看板猫のムー。穏やかな生活を愛するふたりにとって苦手なお客さんは・・・。
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著者プロフィール

香箱あやの
「引っ掻きアート」に囲まれて暮らしている猫好き。さそり座の女性。広島県在住。

タオ
好きなことは畑仕事と野草のお茶づくり。うお座の女性。広島県在住。

書籍概要

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●猫のおはなし集『お給料はマタタビで』
2015年2月8日発行
発行者・文章/香箱あやの
イラスト/タオ
編集/久保浩志
制作・発行/しおまち書房
サイズ/文庫判 オールカラー
ページ数/60ページ 
販売価格/700円(税込)
※限定数量印刷のリトルプレスです。

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