しおまち書房は、広島で編集ディレクション・文章作成を行う小さな制作事務所です。
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【コラム】「本」だけにこだわるのではなく、「本」が生きる使い方を考えている。

くぼです。

「しおまち書房」として独立して以降、
取材を受けることが増えて来ました。
そこで話していると、ぼくも取材する側なので、なんとなく意図が見えることがあります。

それは、ぼくが「本づくりに命をかける」ような人であってほしいという
願いと言うか、見え方というか、そういう方向性に話を進めたいという感覚。
きっとそのほうが、記事になりやすいし、わかりやすいんだろうなぁ・・と思います。

でも、「本がすべてじゃないんです」などと言ってしまうので
皆さん、ちょっと困惑してしまうみたい・・・。

 

そうやって何度か話していると、「現状」に対しての伝え方も
ぼくの考え方も整理されてくるものです。

そこで、最近の「本」に対する想いや
なぜ、こんな仕事をしているのか・・・それをここに書いてみようと思います。

 

ネットに夢を描いた頃
まず、ぼくが「本」にこだわるきっかけとなったのは
間違いなく、10年ぐらいはインターネットに公私ともども
どっぷり浸かっていたことに要因があります。

95年に「Windows3.1」で手作りのホームページをつくり、個人ページを量産して没頭。
また、同時期に仕事でも情報誌の内容をネット化する需要が高まり、それにさらに没頭。

最初の頃は、「紙がなくてもこれだけ表現できる」ことに感動したし
自分のつくったサイトが雑誌に出たり、あるいは全国からメールをいただいたりした頃は
「もうこれが新しいメディアだ」と思ったものです。

 

ところが、インターネットが普及して当たり前になり、
探したいものはほとんどネットにある状態になると
ふと、息苦しくなってきます。

4ページ単位に情報を削いでまとめていく「本」。
いくらでもページを増やしていける「ホームページ」。

当初は、後者の可能性に感動しましたが
しかし、個人のブログも発達していくと、どんどんと情報の海になりました。

石も玉もごちゃまぜの世界には「SEO」とやらを意識したロボットみたいな文章まで出回ります。

ネットでは、じっくりと読む気持ちにはなりにくいという「痛み」をそこで感じはじめました。

 

ネットで仕事をした経験
その後、ぼくは転職し、ホームページを制作する側に回ります。
どんどんページを増やしていくネットの世界では
一つひとつのページも、まるで部品のよう。

「本」を作っていた頃、1Pごとに傾けていた力。
ページをどんどん増殖させるネットの世界では
それはかなり難しいと思いました。
したくても、その余裕がないというか・・・。

もちろん「ネット」ゆえの利点もあります。
直につながれるダイレクト感。
それはSNSの出現でますます感じることになりました。

 

リトルプレスとの出会い
「ネットと本は別物」と思って割り切っている頃、
出会ったのが「リトルプレス」でした。

少数の本を低予算でつくり、雑貨感覚で販売する。
その告知や販売にはネットやソーシャルメディアを活用する。

間口はネットで広く持つ。普遍性はネット。
本として内容は練りこむ。プレミアム感は本。
この2本だて。

この考え方は新鮮だと思ったのです。

 

たとえば、まずはブログで発表して、
その選りすぐりを本にする。

つまり、本とネットの良さを理解して、うまく組み合わせる。

 

数という視点で見れば・・・「ネット」 > 「本」

集客という視点で見れば・・・「ネット」 > 「本」

つくりこみという視点で見れば・・・「本」 > 「ネット」

愛着という視点で見れば・・・「本」 >「ネット」

・・・これが、今後は重要になる・・と思ったのです。

 

気がつくと「本」ブーム

そして気がつけば、「本」はブームになっていました。

「一箱古本市」や「ビブリオバトル」の盛り上がり、

「ブックカフェ」などのおしゃれなスポットの誕生。

「セレクト古書店」の隆盛。

 

ぼくはいわゆる「ブーム」というのには懐疑的で

それに乗るのが恥ずかしいタイプ。

もし、普通にサラリーマンであれば、その世界には飛び込む気はなかったでしょう。

 

しかし、「しおまち書房」として、独立して生きていこうと考えた時、

その「本ブーム」のシーンにも残念ながら、「玉と石」があると気づいた時、

(ブームだから本を扱っている「本」を知らない人々がいるという意味)

子どもの頃から書店と古書店と図書館に通い

ずっと「本」に親しんできた自分は、

そこに、入っていくべきだと思ったのです。

 

「本」だからの良さをどう伝えるか

結論。

ぼくは「ネット」「電子書籍」「商業出版」「リトルプレス」「フリーペーパー」をどれも経験しきました。
よく考えれば、なかなかできない経験をしてきたのでないかと思います。

その結果として「適材適所」なものづくりしたいと思っています。

そして、それが必要な時代に入っていると思ったのです。

だからぼくは、「ネット」も「本」も、どちらの仕事もしていきます。

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