しおまち書房は、広島で編集ディレクション・文章作成を行う小さな制作事務所です。
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【コラム】人はパンのみにて生きるにあらず

「人はパンのみにて生きるにあらず」

ここ最近、上記の言葉をよく思い出します。
新約聖書にある言葉だそうです。
(ちなみに、ぼくは無宗教派の人間です・・・)

言葉の意味は「パンだけでなくごはんも食べんちゃい(←広島弁^^)
・・・ではないですね。当然ながら^^

人は「食べるため=稼ぐため」だけに生きる存在ではない・・・
という意味ですね。

ただ生きるために活動するのではなく、
それ以上のもの、世の中に役立つことをやりなさいということでしょう。

この言葉を強く意識し始めたのは、やはり独立したことと無縁じゃないようです。

深い意味のないイメージ写真です。東京で買ったパンですが、どこか忘れました。ちなみに、このサイトでは、いわゆる出来合いのイメージ写真をなるべく使わないようにしています。ネットで溢れすぎてるので。

そもそも、ぼくのやっている仕事のうち80%ぐらいは
企業にいても、そのままできたものです。
でも、それを「独立」とうカタチに持って行ったのには理由があります。

現在はどの企業も粗利率や優占順位に追われる時代です。
同じ時間をかけるなら、利益のある仕事を優先しなさい。
なるべく、収益の多い仕事を第一にするように。
表現は違えど、この波に覆われている・・・といえるのではないでしょうか。
実際問題、そうしなければ経営は成り立たないことも理解しています。

問題は環境ではなく、ぼくの中にあります。
ぼくはかなり生真面目な性格です。

そんな男が「企業の中」にいると、「外れたことができない」んですね。
仕事中に、優占順位から外れたことをするのは、
たとえそれが数年後には仕事に還ってくるかもしれないトライだとしても
身体が拒絶してしまっていたのです。

罪悪感がハンパない。
さぼったりするのも苦手・・・。

優占順位をさばくのは得意ですが、
それゆえに「遊び」のない人間になっていました。

だから、一度リセットして、自分という看板で
どこまで動けるのか、自由に動ける体験をやってみたかったのです。
独立すれば、自分が表明したものがすべて「事業」なのだから。

理想を言えば、企業に勤務しながら
社会貢献的なサブ事業をしたほうがいろんな面で安心だったでしょう。

でも、周りの環境よりも、自分の中に縛りがあった。
それと戦うことを決めたのです。
そのまま企業にいたら、きっと定年まで同じ悩みに縛られていたでしょう。

最近は、企業によっては業務外活動も認めるように変わってきたと聞きます。
あるいは、時間をうまくやりくりして、両方を追い求めてる方々もいます。

でも、まだまだ「副業=悪」という時代をどっぷり生きてきた
40代(四捨五入すると50代)のおじさんは、
うまくできなかったのです。

これじゃ、パンのために生きてる状態・・・。
そんな動機で昨年の6月に独立し、
ポツポツとお仕事をいただきながら、
一つひとつのお仕事に向き合ってきました。

気が付くと、年末ぐらいには隙間がないぐらいの状態になり
「来月こそは、少しはホッとできるかな?」と思っているうちに
あっという間に翌年の夏になってしまいました。

で、そこで気づいたこと。
ぼくは「パンのために生きてる状態になっていた・・」ということです。

「地元の人々の作品を編んで、広島から発信したい」
そんな思いがあったにも関わらず、その案件は、新しいお仕事が入れば、毎回後回し。

これは、その案件に意味がないということではなくて
まだまだサラリーマン的なものに、ぼくが縛られている証拠なんでしょうね。

自由に動けるはずの独立した状態でさえ、こうなのだから
ホントに強情なやつです(笑)。
独立したから、それがわかったともいえますね。

「久保さん、自由に仕事してますよね」と言われますが
本人は、休憩すらとることができない、カタブツのままなんですよ。
それがわかったことは、大きな成果かもしれません。

先達から学んだ、自分の道をつくる大切さ。
数か月前、地元でも有名なデザイナーの方々が集まる
パネルディスカッションに参加しました。
その際にとても印象的な発言がありました。

国内外で有名な賞をとり、大手企業や代理店の仕事を受けている
著名デザイナーでさえも、「ちょっと気を抜くと無職といっしょですから」と
言われていたこと。

無職にならないために、みなさんは受注仕事の合間を割いて
コンクールに応募したり、自身の作品を制作したりするのだそうです。

時間効率だけ考えれば、お客様の仕事だけをしていたほうが
利益率は高いに違いない。

けれど「急がば回れ」という言葉があるように、
自分というブランドが進む道も整備しなければならない・・ということだと
ぼくは感じました。

まさに、「人はパンのみにて生きるにあらず」ですね。

これから、プロジェクトはじめます。
さて、そんな日々の合間にも、
じつはやろうとしていたプロジェクトにまったく動けなかったわけではありません。
「地元の人々の作品を編んで、広島から発信したい」という想いに
賛同していただける数名の方といっしょに、細々と準備を進めてきました。

将来発売するリトルプレスとして、題名や判型だけは決まりました。
テーマは「旅」です。
これから、さまざまな方々と一緒に本を紡いでいく段階です。
いつ完成するかは、まだわかりません。

時に、「コウリツ」とか「リエキリツ」とかに打ち負かされそうになるけれど
負けずに進めていきたいと思っています。

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