自費出版の種類はいろいろ。比較してみました。
くぼです。
「自費出版」とひとことで言っても
いろんな種類が増えてきています。
従来は「回顧録」や「自叙伝」的な文章主体の作品が
自費出版の中心にありました。
その後「リトルプレス」や「zine」という流れが生まれています。
まずは、この従来の自費出版をおおまかに分類し、
それらの特徴や選び方を書いてみます。
A.デザイナーや印刷会社のつくる自費出版
B.自費出版向け出版社・編集プロダクションのつくる自費出版
C.全国出版社のつくる自費出版
どんな業態にも例外や複合型はありますから
このパターンに当てはまらないケースもあるので、そこはご容赦ください。
まずは、それぞれを説明していきます。
A.デザイナーや印刷会社のつくる自費出版
本は、本来何の届出もなく、自由につくれるものです。
本づくりの知識と、印刷会社との交渉が可能であれば
つくることは可能です。
ISBNなどのコード登録は、販売や流通のための仕組みです。
もちろんISBNを取得すると、国会図書館に納品が可能であり
また、アマゾンでも販売が可能となります(ただしマーケットプレイス)。
しかし、販売しない本や、
たとえば自分で販売するルートがあれば、
じつはコードはなくても本はつくれるんですね。
一般の印刷会社やデザイナーが制作する本は
販売まではタッチしないことが一般的です。
「作る」ということに重点を置き、販売のことは著者自身が考えるか
あるいは、配布・献本を目的としたものとなります。
そして、ここが重要ですが、販売が絡まない分、安価になります。
【選ぶポイント】
Aの会社さんを選ぶポイントは、「本の編集」の知識があるかどうかです。
国内の印刷会社さんやデザイナーさんの多くは、
いただいた材料をもとに、よりよい形に仕上げることに長けています。
逆に言うと、本の専門家ではないケースもあり
あなたの作品の内容を選んだり、修正したり、構成しなおしたり・・という
知識や経験が薄い場合もあります。
自分の作品をそのままデザイン・印刷したい方は別として
作品内容を相談したい方の場合は、これらのAの会社さんに
編集知識のあるスタッフがおられるか、
あるいは外部編集者とのコネクションがあるかを見極めると
良いと思います。
※もし、外部編集者がいない場合は、「しおまち書房」は
そこだけのお手伝いもできます。お声掛けください。
B.自費出版向け出版社・編集プロダクションのつくる自費出版
「出版社」と印刷会社やデザイン事務所の違いのまず大きなポイントは、
「編集者」がいるということです。
編集者の目で作品を選び、修正し、
あるいは執筆の追加などを判断します。
本の専門家としての知識を持って、ある程度客観的なバランスを
もってあなたの作品をつくりあげていきます。
また、ISBNなどの流通コードを必ず持っています。
ただし、全国流通は書籍流通の構造的に難しい面があるので
関係する書店などで販売したり斡旋したりします。
コストは、その会社さんによっていろいろと異なりますが
Aよりは高くなります。
場合によっては、会社さんも多少負担して、少し部数を増やし
それを販売するような提案をされることもあるでしょう。
最近は、いろいろな契約方法があり、ここではそれは省略します。
このBの選び方については、ポイントは2つ。
【選ぶポイント】編集者との相性+販売範囲です。
まずは、「相性」。
「編集者」がすべてを判断しますので、まずはその方との相性。
これが悪ければ、あまりいい本にはなりません。
いろいろ接するか、あるいはブログやソーシャルメディアなどで
その方の人となりを確認することも重要です。
もう一点は「販売」。最近は、自費出版ではない一般の書籍でも
店頭に並ぶのは短い期間で、すぐに返品されたりする時代です。
「書店で販売します」と言っても、
どのくらいの規模なのかをつかんでおいたほうがいいでしょう。
どういった書店に、どれだけ販売する予定なのか?
また、あなたの作りたい本が「書店で売れる」ことが優先なのかどうか?
売りたい範囲や数のイメージと、その会社さんのスタイルが
合致しているかどうか、これらを総合的に判断したほうがいいでしょう。
ネット販売や、読者ターゲットの近い店舗さんへの直接卸など、
いまは売り方もたくさんある時代ですから。
C.全国出版社のつくる自費出版
これは、全国規模の出版社です。
広島にも数社さんありますが、
地方に会社があっても流通規模が全国であれば
こちらに分類します。
こちらの場合、通常の書籍をつくるラインがありますから
そのリレーションを応用して
自費出版の本をつくって、販売します。
店頭キャンペーンをやったり、全国の書店に卸したりなど
その会社さんの規模や、あなたの出せるコストによって
いろいろな対応ができます。
【選ぶポイント】
こちらの会社さんの場合のポイントは
ズバリ、コストです。
当然ながら、AやBに比べると高くなります。
しかし、ただ高いのではないことは上記で述べた通りです。
いろんなインフラが揃っています。
もし、あなたが出版を通して「有名になりたい」のであれば
この選択肢はかなり有効です。
しかし、自分の作品をまずは小さく(安く)形にして
身近なところで、長く売って行きたい・・のであれば、
AやBで、話が通じるところを探すほうが、
結果的にはいいかもしれません。
リトルプレスやzineは、どこに分類される?
さて、リトルプレスやzineというジャンルの本は、
著者自身が手作りで本をつくったり、
あるいは上記のAやBに低コストで依頼して、
数百部程度の本をつくって、
身近な販売店やネットでじわじわと販売するという流れから
生まれてきたものです。
これは、インターネットの発達で、
雑貨の一部のように「本」を売ることが増えてきたことや
あるいは、雑貨店などでそ、のお店のジャンルに近い
「本」を売る動きが出てきたことがあげられます。
・食器を扱うお店で、食材やレシピをまとめた手作り本を売る
・手芸店で手芸を題材にした本を売る
・自分の作品を本にまとめて、個展の会場や画廊で販売する
・・・・などなど。
かつては「出版社」ありきという分野だった自費出版は
リトルプレスやzineなど、いわゆる「自主制作」や「インディーズ」的な
作り方が可能になった分、新しい形へと進化しつつある
その途中ではないかと思っています。
しおまち書房はどのタイプ?
さて、わが「しおまち書房」は、AとBの間の立ち位置です。
編集者はいますし、制作するラインはあります。
印刷会社はご予算や仕様に応じて、マッチするものを探します。
電子書籍も対応しています。
その反面、販売はあまり強くありません。
インターネットでの販売を軸に、
実店舗は、現在のところ、本が好きな方の来店する店舗を中心にしています。
古書店を回っている時、自費出版で大々的に販売された本が
何冊も「古本」として並んでいるのを見かけて以来、
たくさん刷って、たくさん売ることが「本当に読み手の心に届いているのか?」と
疑問を持つようになりました。
本当に売れる本をたくさん刷るのはいいと思います。
けれど、雰囲気でたくさん売って、あとは捨てられたり売られたりする・・というのが
どうも気になって仕方なかったんです。
強力な販売計画は、費用高にもつながります。
もちろん、本の出版を機会にして有名になりたい・・という考え方もあるかもしれませんが
その場合では、セミナーやイベントで回って、そこで本を売った方が粗利も高くなります。
有名になることよりも、作品を静かにでも評価してほしいという考え方でしたら
リトルプレスやzineとしてじわじわと広げていくほうがいいでしょう。
著者が費用を負担して、たくさん刷ってたくさん店舗にばらまく・・・のではなく
少数印刷として、費用も抑え気味にして大事に売っていく。
しおまち書房が、リトルプレスの考え方に共鳴したのは、ここにあります。
本の種類によって、読者ターゲットに合わせて販売を展開すべきと思っていますので
著者の方といっしょに、どう展開するかを考えていきたいと思います。
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