しおまち書房は、広島で編集ディレクション・文章作成を行う小さな制作事務所です。
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「アーカイヴ」と「リアル」

アーカイヴとリアル

この写真は昨年の秋に、東京の渋谷の駅で見かけた
タワーレコードの広告です。

デジタル=アーカイヴ
アナログ=感動・実感(リアル感)

・・・そう定義することで、現在の音楽を取り巻く動きをわかりやすくしています。
それぞれ整理しますと・・・・

■デジタル
・CDがネットで買えるようになった
・音楽がダウンロードで、どこからでも買えるようになった
・動画再生サイトで、いつでも聴きたい音楽が探せるようになった
・検索さえすれば、どんな音楽情報もすぐに入手できる

■アナログ
・全国でフェスが増え、種類も数も充実してきた
・パブリックビューイングなど、他の観客と実感を分け合う動きが静かなブームとなっている
・SNSでファン通しがつながったり、小さなイベント企画が活発に
・アーティスト自身が低予算でツアーをしたり、音源を売ったりするようになった

インターネット=デジタルの発達で、段階的には音楽は衰退したかに見えましたが
でも、実際には、「デジタルが充実すると、人間はアナログな出会いや感覚を求める・・」という
ゆり戻しのような動きが起こっているわけですね。

いつでも手に入る=便利=だけど物足りない
          ↓
ファンの数が増える=交流したくなる=浅いファンも増える=ディープなものを探す
          ↓
その一瞬でしか体験できないもの=リアリティがある=レアなものを求める

・・そういう感じで、「デジタル」と「アナログ」が呼応するかのように変化してきているんですね。

そういえば、昨年『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』という本がとても売れました。

音楽と言えば、ある意味工業製品のように、大きな工場で特定の期間だけつくり、
そして特定のラインでだけで販売する、
そういう重工産業ともいえる長い時代が全世界であったわけです。

でも、アメリカのバンド「グレイトフル・デッド」は
ライヴを自由に録音させ「シェア」を促すことで、
ヒット曲や宣伝がなくても売れるという状態をつくり
ライヴのチケットを自らが販売する・・ことで、粗利率を上げました。

この手法、まるで、この「アーカイヴ時代の到来=重厚長大時代の終焉」を予感していたようです。
でも、きっかけは、他のバンドのようにラジオでヒットしなかったこと、
ライヴに来るファンの要望にきちんと応えていったこと・・・の様子。

執念と知恵、そして「目の前のファン」を大事にして、自分たちの道を切り開いてきたことが、
後に社会が変わっても影響を受けないモデルを作ったってことでしょうね。
それがきっと本質なんでしょうね。

さて、「本」の分野では、この波はどのようにやってくるのでしょうか?
もう予兆はいろいろありますが、
「中身」をすべてアーカイヴするには難易度が高い分野ですから動きはまばらですね。
「古本市」「リトルプレス」「zin」あるいは「朗読や読書会などのイベント」は
リアルな動きの一例といえるでしょうね。

いろいろな変化の中、「本質」を見据えていきたいと思います。

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